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誠との出会いは四年前の春の事だった。
同じ職場で働く仲間。私より3ヶ月遅れで入ってきた誠は、2歳年上の私を、姉さん、姉さんと呼んで、慕ってくれた。
そして告白されたのだ。
サクラが舞散る樹の下で。
「姉さんが好きです。」
いつもの冗談ばかり言って、笑い合っていた顔ではなく、今まで見せた事がないような、真剣な表情だった。
私も先輩として、色々教えているうちに、仲間以上の気持ちが芽生えてしまっていた。
でもその時、私には彼氏がいた。二股なんてかけたくなかったし、彼氏が好きだった。だから断った。そしたら誠は言ったのだ。いつもの笑顔を見せて。
「分かってる。俺は貴方を別れさせたいとかじゃないんだ。」
「貴方にとって、俺が何番目でもかまわない。」
「俺にとっては貴方は一番だから。」
…その時、彼氏とは遠距離恋愛だった。
会えない辛さを誠で埋めてる気分で、二人に後ろめたかった。
久々に彼氏と会った時、何をしてても、誠の事を考えてる自分に気づいた。
その日に彼氏に別れを告げ、今度は私から誠に告白した。
あの時の誠の、驚いた顔が忘れられない。
「俺が幸せにするから。‥絶対に幸せにするから。」
そう言って誠は、初めてのキスをしてくれた。
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