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だが、それに気付いたところで、今となってはもうそれは過去の事でしかない。
こんな風に気付かされると、本当は自分は馬鹿なのではないか、と疑いたくなってくる。
後になってからでしか、過ぎ去ってからでしか気付く事ができない自分。
何故その時、その場所で気付けなかったのか。
自問自答したところで、答えはでなかった。
『あ、そういえば隼斗見た?あのニュース』
「ニュース?」
柚子奈からの問いに、隼斗は同じく問いで返す。
あのニュース、と言われても、思い当たるものがない。
情報を手にいれようと、隼斗は手にしていたテレビのリモコンを操作して、無意識のうちに電源をつけいた。
画面にちょうど今から始まろうとしているニュース番組が映る。
アナウンサーが初めに告げたのは、今日起こった大型のバイオテロについて。
『ほら、今日あった一番大きく取り上げられてたニュース!』
「……それってどんなニュース?」
『精神崩壊者によるバイオテロ!意外と近場で、私も結構危なかったんだからー』
柚子奈の声は一応隼斗の耳に届いていた。
が、隼斗の興味は既にテレビ画面に向けられており、もう釘付け状態だ。
柚子奈への返事すら忘れてしまっていた。
柚子奈が言った、精神崩壊者によるバイオテロ。
それについての最新情報が今、丁度テレビで流れていた。
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