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だが、精神的な病に対する効果的な治療法は今もまだ少ない。
専門的な知識を持つ人間とコミュニケーションを重ねる、それが最善の治療法だと言われている。
はっきり言って、この分野は長年の研究も成果が実らず、ほとんど進歩という進歩を見せていなかった。
精神的な病と肉体的な病とで、何故こうも治療法の発見に違いがでてくるのか。
理由はいたって簡単なものだった。
肉体的な病は目に映り、精神的な病は目に映らないから。
それが、理由。
人間の目に映るものは、コンピュータやロボット等の機械にも映る。
そして理解できる。
だが人間の目に映らないものは、コンピュータやロボット等の機械にも映らない。
その為、理解できない。
機械類に頼りっきりの現代では、感情を持たない機械に理解できない“人間のココロ”は人間にも理解が難しいのだ、と解釈され、目立つような研究がされなくなった。
そしていつしか心療系の医学は“医学”という大きな一くくりの中から外されてしまった。
医学から外されてしまったが為に、心療系の専門職についた者は患者や世間から“医師”と呼ばれたとしても、正式に国が認める“医師”ではなくなってしまい、高かった給料の額も低下してしまった。
そうなってしまったが為に、心療系の職に就こうとする者は少なくなった。
近年、この国で心療系の職に就き働いている人の数が激減している事が問題として上げられるようになってしまう程に。
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