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あれから二人の電話は予想以上の盛り上がりをみせ、11時を回った現在になっても会話は続けられていた。
『でね、その子が天然なもんだから凄い勘違いしちゃってさー』
「へぇー……」
といっても現在はあくまで会話が続いているだけであって、先ほどに比べれば話題もなくなってきている分、話が随分とクールダウンしていた。
『……なんかさっきからリアクション冷たいね、隼斗。そろそろ疲れた?眠い?』
「んー……悪い、なんか疲れたって言うか、さっきから体が重いと言うか、変な感じがすると言うか……とにかく良い気分ではないんだわ……少し頭痛もするし……」
隼斗はあれからベッドの上でかれこれ何十回と寝返りをうっていた。
ジッとしていると何故か頭が疲れる。
これは学校が原因の疲れからきているのか、それとも眠気が原因で体が重く感じているのか、それとも風邪か何かにやられて体が悲鳴を上げているのか、当てはまるものが多すぎて原因と症状がうまく絞り込めない。
だが確実に、体が正常ではないとだけは言える。
『もー!体調よくないなら早く言ってくれればよかったのに!スグに寝な!てか寝ろ!』
「寝ろ、って……命令かい」
力なく笑いながら、電話の向こう側にいる柚子奈に答える。
正直、今の隼斗にとってはありがたい言葉だった。
柚子奈にはそれほど重症だとは受け止められていない。
だが実のところを言うと、そろそろ隼斗の体は限界に達しようとしていた。
その後隼斗は、体が限界に近い事もあってか柚子奈と適当に言葉を交わし、電話を切った。
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