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高校に入学して、早3ヶ月。
季節は夏の一歩手前。
期末テストに向かって各々の生徒がラストスパートをかけている今の時期、学校内はピリピリしていた。
地域だけでなく、国全体から見ても有名な進学校であるこの高校は、本当に勉強がしたい者が集まっている超がつく程のエリート校。
授業後にあるのは補修のみ。
部活動等は存在すらしていない。
文化祭や体育祭など、学力の糧にならないと判断されたイベントも行われる事はない。
そんな環境である為、周りは一生懸命勉強に取り組んでいる者ばかりだ。
だが、隼斗はそんな状況でも、全く勉強をしていなかった。
そして、一切焦っている様子を見せていなかった。
前回のテストは、そこまで悪くなく、それでいて良くもない実に中途半端な成績だった。
だからこそ頑張れば上に行ける、と親には期待されてしまっている。
自分自身、確かに頑張り次第ではもっと上にいける、とも思っている。
だが、今の隼斗は、やる気が全くといっていいほど起きないのだ。
なんとなく、黒板に目を移す。
既に写し終えていた板書はもう黒板から消されており、今は今回の課題についてのポイントを説明するのに使われていた。
カツカツと音をたてながら、チョークが白い字を黒板に刻んでいく。
カチカチと音をたてながら、壁にかけられた時計の秒針が進んでいく。
そして、秒針が12に達した時、長針が50分へと到達した。
その瞬間、鳴り響くチャイムの音。
その音が学校に授業の終了を告げた。
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