26人が本棚に入れています
本棚に追加
「瞬くん」
後ろから声を掛けられて振り向く。
「あげる」
俺の口にチュッパチャプスを押し込んだのは、綾瀬 栞だった。
「イライラする時は甘い物がいいんだよ」
こんな飴一つで俺の怒りは収ま…ら…な…
あっまーい。
「クスッ。瞬くんて面白い」
不覚にもチュッパチャプスによって癒されてしまった俺には、綾瀬の微笑みも煌の切なそうに綾瀬を見つめる眼差しにも気付かなかった。
「俺、いいこと思い付いたんだけど、聞きたい?」
ニヤニヤしながら宮田が口を開いた。
「聞く聞く」
ベッドで横になってマンガを読んでいた俺は跳び起きると、激しく首を縦に振り頷いた。
「煌も聞くだろ?」
自分のスペースで雑誌をめくっていた煌にも宮田が声を飛ばす。
「遠慮しとく」
顔も上げずに煌は呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!