第一章 桜色の蒼猫

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辺りは 重い空気になっている。     殺気。     生暖かく、嫌悪感を抱く   その空気を発している ど真ん中に     ひとり、レンが佇んでいる。     レンは少し微笑んでいた。   辺りにザコはいない。     ようやく 気刃化を終えたようだ。     「レンタシ~…頑張って~☆」   ティカはそう言いながら 別エリアに行きそうなくらい 距離を置く。     巻き添えを食らうからだ。     ああなってしまったレンは 誰にも止められない。     唯一止められる時は 獲物が無惨に殺された時。     殺気は自分と同じ桜色を持つ 巨体に向けられた。     「………………。」     レンは動かぬレイアを見定め 太刀を片手に駆け出す。     まずは尻尾。     下から突き入れ、 軽く上方に差し入る。   チョイっとステップを踏み縦一文。     すると…   「ギャァァァオオオォォ!!!」     いともカンタンに 尻尾が巨体から分離する。     その痛みにようやく 我に返るレイアは   レンに突撃をはかるものの     右けさ斬りで 右翼にキズを負う。     「……ふふふ…。」   初めて開いたレンの口から 殺戮を楽しむような   慈愛に満ちた声が 聞き漏れた。
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