第一章 桜色の蒼猫

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「はいっ!」   と、取り出したのはブーメラン。   「はぁ?」 思わぬティカの行動に ロイツは思わず声をあげる。   「おいおい…そのブーメラン  どーする気だよ」   「こーするの、よっ!」 ティカはまだ気付かぬ レイアのもとに忍び寄り手に 持っている物を投げつけた!   ブーメランがっ!     …壊れた。     …見事にレイアの後頭部に クリティカルヒットするものの   「ギャオオオオォォォっ!!!」   高らかな咆哮とともに こちらへ駆け出す桜火竜。   その体は桜色に染まり 砂漠の中に咲き乱れるように 美しいものがあった。   しかし今はその桜が ティカ目掛けて猛烈なスピードで 近付いてくる。   「うそ!一発目で  壊れるなんて…」   「んなこと言ってる場合か」   ティカは動かない。   「おい!ティ…!」   と、叫ぶロイツ。   しかし、レイアはティカの目の前に さしはだかる!   10m……5m…3m…2m…1…   間に合わない!   「ぶつかる…!」   誰もがそう思った。     そして…。   ズドオオォォォォォンっ!   何かが落ちる音がした。   一瞬 何が起きたか理解できない。     ただ言えるのは   在るべき所に在るべきものが 存在しないと。
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