目眩

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目が覚めたら 私は木陰の下に横たわっていた。 少しヒンヤリとした体に 生温い風が通り抜けた。 ハッとして 体を起こしたら 少年が驚いた顔をして 私を見た。 「あ、大丈夫ですか?」 少年が声を掛けてくれた。 今度はハッキリ聞こえる。 少年の声は優しい声。 私はコクリと小さく頷いた。 少年は「良かった」と 小さく呟いた。 辺りを見渡せば 白い壁に囲まれている。 ここは…中庭? 一本だけ植えられた木の下に 私と少年は居る。 少年はスケボーに腰かけ 私は木製のベンチの上にいた。 日射しはまだ暑い。 だけど木陰の所為か少し涼しい。 四方、壁に囲まれているのに風が吹く。 髪が風に遊ばれる。 少年が何か読んでいる。 それは…本? ここは…図書館の中庭だわ。 目眩がして… 記憶がない。。 まさか少年がここまで運んでくれたの?
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