8人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
その時、風が吹いた。
耳の奥で
ゴーと鳴るような。
不意に少年が私を見た。
「甘い匂い」
少年の優しい目が
私を貫く。
今度は耳の奥で
ドクドクと心臓の音がした。
今日は何故だか
頭がフワフワする。
暑い所為かしら。
少年は私から目を反らして
「よいしょ」と立ち上がって
私の方へと
歩み寄って来た。
黒い髪が
光を吸い込んで
銀色に輝いて見えた。
ハーフパンツから出ている脹ら脛は
細い割りにガッシリしていて
スケボーを抱えた右腕も
下を向いて歩く少年の首筋も
日に焼けている所為か
逞しく、また
色っぽかった。
最初のコメントを投稿しよう!