プロローグ

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2075年7月21日 とある地下施設の会議室にて、日本の総理大臣の植山(うえやま)、医師の宮田(みやた)、学者の倉本(くらもと)の三人が集まり話し合いが持たれていた 宮田も倉本も、その業界ではトップに立つ立場のものだった 「やはり、五年後に小惑星が衝突するというデータに変わりはないのか?」 植山の表情はとても暗かった 「残念ですが総理…。世界各国から送られてきたデータと我々が調べたデータを照らし合わせて見たのですが、衝突するのは紛れもない事実です。五年前と一切変わりません」 それを聞いた植山は、更に表情が暗くなった 「地下シェルターを作ったり、小惑星を爆破して軌道を変えるとか、他に手だてはないのか?」 「それは無理です。小惑星の直径は約400キロメートル。それだけ大きいものなら当然爆破なんて無理ですし、どんな頑丈なシェルターを作ったって無駄です。海水は一ヶ月足らずで全て蒸発して、地上は灼熱地獄。地球は確実に生物が住めない星となります。…総理、やはりあの計画を本格的に取りかかるべきだと、私は思います」 しばらく会議室の中には、沈黙が流れる 植山は目を瞑り、腕を組みながら考え込んでいた
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