公表

3/10
前へ
/40ページ
次へ
「どこのチャンネルも、似たようなものばかりですね」 「あぁ、そうだな。最近再放送ばっかりで、つまんないしな」 結局、最初に映っていたドラマのチャンネルに戻すことにした。 五分後… 先ほどまで、不満ばかり言っていた拓斗も、食い入るようにドラマを見ていた。 ドラマの中では、刑事役の主人公が追いつめられた犯人と格闘するというシーンだった。 『しばらくお待ちください』 いきなりテレビの画面が、ドラマをシーンから文字だけの画面に切り替わった。 「え~、いいところだったのに」 夢もいつの間にかドラマに夢中になっていた。 「おい、なんだよそれ」 俺はチャンネルを変えてみた。 しかし、どこも『しばらくお待ちください』と表示されている。 「どうしたのよ?」 異変に気が付いた奈津もテレビの前にくる すると、タイミング良く画面が切り替わった。 『国民の皆さん。ご機嫌よう。テレビをつけていない方がいたら、今すぐテレビをつけてください』 画面には、総理大臣の立川(たちかわ)が映っていた。 テレビだけでなく外にある、あらゆるスピーカーからも放送が聞こえてきて、声が響いていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

890人が本棚に入れています
本棚に追加