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「もうそれしか方法がないと思うか?」
「はい」
倉本は植山の目をしっかり見据えて答える
「分かった…」
植山はそう言うと大きな溜め息をついた
「じゃあ、計画の進行具合を報告してくれ」
「それじゃあ、私から先に…」
倉本は立ち上がり、手元にある資料を見ながら喋り始める
「まず、五年前から取り掛かっていた、宇宙船の設計、組み立てですが、もうすでに80%近く仕上がっています。この調子でいけば、三年後には完成する予定です」
「そうか、計画当初はどうなることかと思ったが…。話を聞く限りじゃあ心配には及ばないようだな」
植山は不安材料が一つ消え、ホッと胸を撫で下ろす
「いえ、実は問題がありまして…その」
倉本は言葉を濁す
「なんだ?何が問題なんだ?」
「定員なんですが、宇宙船開発当初は1000人近く乗れるように設計をされていたんですが、色々な機器や食料のことを考えると、どれだけ多く見積もったとしても、300人が限界だということが分かりました」
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