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「そろそろ、夢ちゃんが来る頃でしょ。早く準備しなさいよ」
母さんは食器を流し台に、片していく。
「今日は行きたくない…」
「何言ってるの。皆、待ってるんでしょ」
ピンポーン
丁度、ベルが鳴らされた。
きっと、夢だろう。
「ほら、もう夢ちゃん来ちゃったじゃないの。母さん、もう行くけど、あんまり待たせるんじゃないわよ」
母さんは、椅子に掛けてある鞄を手にして家から出ていった。
外では二人の話し声が聞こえる。
母さんと夢は本当に仲が良かった。
休みの日には、良く二人で映画を観に行ったり、ショッピングしに行くくらいだった。
ガチャッー
「拓ちゃん、おはよ~」
朝から騒がしい声が、家中に響く。
「朝っぱらから、元気だな。お前は…」
「あっ、まだ着替えてないの。もう、なっちゃんと将人くん外で待ってるんだから」
夢は、居間にあるソファーに腰掛ける。
「えっ、なんであいつらが?」
「もう、全然話聞いてなかったでしょ?2週間前に、皆で遊びに行こうって話したじゃん」
俺は、2週間前のことを思い出す。
確かに、そんな話をしたような覚えがある。
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