決断

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またしても、変な空気が流れる。 「私、Selectに参加しないことに決めたから…」 突然、奈津がそんなことを口走った。 「えっ、なんだよ。いきなり…。それに参加しないって」 「あんたらは、参加するんでしょ?頑張りなさいよ」 奈津は俺と、夢の肩に手を当てる。 「そんな…。私達と一緒に逃げようよ。将人君からも何か言ってよ」 夢は助けを求めるように、将人の方を見るが、俯いたまま問い掛けには答えてくれなかった。 「将人…」 「仕方がないのよ。亜季には私しか居ないんだし。あの子、体が弱いから参加できないの。 …だからさ、私が護ってあげなきゃ」 亜季とは、奈津の妹で、幼い頃事故で両親を亡くし、今は親戚が持っているアパートで二人暮らしをしていた。 「そんな…、嫌だよ…」 夢は泣き出してしまう。 「ほら、泣かないの。ったく…」 奈津は、夢を優しく抱き締める。 「ってことは、お前も参加しないんだな…将人」 「えっ、なんでそれを…」 どうやら、図星のようだ。 「お前ら二人、付き合ってんだろ?」 将人と奈津は、俺らに隠しているつもりだろうが、見え見えだった。 いつでも、敬語の将人は奈津と二人っきりになると、普通の喋り方になるのであった。
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