890人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ~、何か俺だっせぇな…泣いたりしてよ」
パンッ、パンッ!
俺は、両頬を軽く叩いて気合いをいれる。
「よしっ!辛気臭くなってきたし、飲みに行くぞ!!」
「えっ…。拓斗君って飲めないんじゃ?」
「うるせぇ、空気読めよ。行くぞ」
俺は、強引に三人を引き連れ、まだ営業している居酒屋で朝まで飲み明かした。
案の定、翌日は二日酔いで最悪の目覚めだった。
俺以外の三人は、ケロッとしていた。
それから二日間は、「Select」への参加手続きや、健康診断などで忙しかった。
それ以外は、普段と変わらなかった。
ただ一つを除いては…
それは、奈津と将人のことだった。
もう、あの二人はこの町には居ない。
みんなで飲んだあの日の翌日、この町から出て行ったのだった。
この町から、遠く離れた町へ行ってしまったのだった。
これは、急なことでビックリしたが、奈津の妹の亜希ちゃんのたっての希望だったので仕方がなかった。
その町というのは、奈津の両親が生きていた頃住んでいた町だったのである。
最初のコメントを投稿しよう!