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本当は…俺…詩穂の事が好きなのか?
いや、正確には好きだった…か。
実際今、俺には彼女がいる。無論、その彼女の事は愛している。
自分では気付かない心の片隅に詩穂を想う気持ちがあったのかもしれない。
ただ何故今更になって?やはり結婚すると聞いたからなのか?
…なんなんだよ、全く。自分の気持ちなのに分かんねぇ…
晴れない心のモヤモヤに俺は苛立っていた。
…何なら今の内に全部この気持ちをさらけ出してみようか。
何の為って訳でもないが俺自身こんな気持ちのまま、詩穂の結婚を素直に祝福出来る自信は俺にはない…。
ただ…詩穂に迷惑は掛からないだろうか?
いや…意外と…詩穂とならこの話も笑って話せそうな気がする。
「なぁ、詩穂」
俺は意を決して話をする事に決めた。
「ん~?」
詩穂は振り向かずに海を見ながら返事をした。
「俺さ、お前の事…好きだったのかもしれない」
驚いた詩穂は俺を見た。さて…次は怒るか?呆れるか?
だが詩穂は俺の予想を裏切り、苦笑いを浮かべた。
「何言ってんの?あんた。…あっ!あたしを困らせようとしてそんな事言ったんでしょ!まだまだ甘いな~隆太も!あたしは騙されないよ!」
「はっ!?いや…違うって、真面目な話でさ」
笑っていた詩穂の表情が次第に真剣に変わっていく。
「何よ?急に…意味分かんないんだけど」
「俺さ…お前と知り合ってから、全然お前の事異性として見た事なかった…だけど、今日お前が結婚するって聞いてからなのか…何だか心がモヤモヤするんだよな…」
「………」
詩穂は俯いたまま何も言わない。
まぁ、ここまで来たら後には引けないのも事実だ。もう誤魔化せない。
「だからさ、思ったんだよ…詩穂が…好きだったんじゃないかって…」
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