74人が本棚に入れています
本棚に追加
詩穂の車は俺の家がある団地の入口に止まった。もう外はだいぶ明るい…というよりも完全に朝だ。
「あ~っ!着いたぁ!」
「お疲れさん。しかしまぁ…あのメンツで遊ぶと必ず俺が最後なんだよな」
「しょうがないじゃない、隆太の家を最後にした方があたし遠回りにならずに済むんだから。諦めなさい」
ニヤリと笑った詩穂。
車の中には二人だけだ。
一瞬、妙な沈黙の時間が車の中に流れた。
なんだかんだ…詩穂も少し意識してんのかな、海での話。
「じゃっ、帰るわ」
「うん」
俺は車を下りると運転席側に行った。詩穂が窓を開ける。
「眠気大丈夫か?気を付けて帰れよ?」
「うん、大丈夫」
俺は小さく手を上げると振り帰って家に向かって歩き出した。
「あっ!待って!隆太」
「ん~?何だよ、まだ何かあんのか?」
「あの…さ…」
詩穂にしては珍しく言い辛そうにしている。
こんな詩穂見たことないぞ、と少し困惑。
「今日は…ありがとう」
「…?は?何が?」
本当に意味が分からなかった。
遊んだ事に対してか?いや、今までそんな事一度も言った事なかったよなぁ…。
最初のコメントを投稿しよう!