想い

2/10
前へ
/21ページ
次へ
詩穂の車は俺の家がある団地の入口に止まった。もう外はだいぶ明るい…というよりも完全に朝だ。 「あ~っ!着いたぁ!」 「お疲れさん。しかしまぁ…あのメンツで遊ぶと必ず俺が最後なんだよな」 「しょうがないじゃない、隆太の家を最後にした方があたし遠回りにならずに済むんだから。諦めなさい」 ニヤリと笑った詩穂。 車の中には二人だけだ。 一瞬、妙な沈黙の時間が車の中に流れた。 なんだかんだ…詩穂も少し意識してんのかな、海での話。 「じゃっ、帰るわ」 「うん」 俺は車を下りると運転席側に行った。詩穂が窓を開ける。 「眠気大丈夫か?気を付けて帰れよ?」 「うん、大丈夫」 俺は小さく手を上げると振り帰って家に向かって歩き出した。 「あっ!待って!隆太」 「ん~?何だよ、まだ何かあんのか?」 「あの…さ…」 詩穂にしては珍しく言い辛そうにしている。 こんな詩穂見たことないぞ、と少し困惑。 「今日は…ありがとう」 「…?は?何が?」 本当に意味が分からなかった。 遊んだ事に対してか?いや、今までそんな事一度も言った事なかったよなぁ…。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加