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「何よ、柄にもなく照れちゃって。でも、今の状態を維持出来たらいいなって思ったのは本当だよ、嘘じゃない」
「…あぁ、信じるよ、それは俺だって思う。だから例え、詩穂が結婚しようと詩穂は詩穂だ、俺の友達だからな」
「そう…良かった…」
ほっと安心したように詩穂は溜息をついた。
…詩穂も不安だったのかもしれないな、この話をする事で、また結婚する事で今の友達関係が崩れてしまうかもしれないって…。
「じゃあ、今度こそ…」
「待って、隆太…一つお願いしてもいい?」
「ん?何だよ?改まって…内容にもよるんだけどな」
詩穂に笑いかけた。
だが詩穂は暫くハンドルを見つめたまま動かない。
そして意を決した様に俺を見ると、
「隆太…キス…してもいい?」
「はぁ…?」
俺はまた自分の耳を疑った。
俺の耳はどうにかなったのか?
いや、今…確かに詩穂はキス…って言ったよな?
「お前…何言ってるんだ?」
「やっぱ…嫌…だよね?」
「えっ…あっ…嫌っていうわけじゃないんだけど…何でだよ?」
「ただ単に…独身最後の思い出にって言ったら失礼かもしれないけど…自分勝手かもしれないけど…隆太と…特別な思い出残しておきたいの」
「…お前は…それでいいのかよ?大丈夫なのか?」
詩穂は俺の目を見つめながらコクリと小さく頷いた。
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