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「……分かったよ」
暫く考えたが断っても帰してくれそうにない、詩穂の意思は堅いらしい。
「とりあえず…車下りろよ」
「うん…」
詩穂はシートベルトを外すと車を下りた。
何だってまぁ…よりによってキスなのか…。もうちょっと別な事なかったのか?
「じゃあ…」
俺は詩穂の両腕を掴んだ。詩穂の体は小さく震えていた。暫く見つめ合う。
「目…閉じろよ、…恥ずかしいだろ」
「えっ…?あっ、ゴメン…ははっ」
苦笑いをした詩穂、いつもとは違う…何だか緊張してるみたいだ。
まぁ…俺も人の事は言えないが。
詩穂が目を閉じる。
少し心臓の鼓動が早くなる。
今まで見て来た中で一番女らしい詩穂の表情、今なら異性として意識してしまう。
俺はゆっくりと詩穂を引き寄せた。
こんなに近くで詩穂の顔見たの…初めてだ。
スッと一気に詩穂を更に引き寄せると俺は詩穂にキスをした。
…
その瞬間、
ヒュウ…
と一陣の朝の風が吹き俺と詩穂を包んだ。
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