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スッと唇を離し、俺は詩穂の顔を見た。
ほのかに詩穂の頬が赤くなっている。
ゆっくりと詩穂は目を開くと、
「へへ…ありがと…」
「誰にも…言うなよ?」
「うん、分かってる。あたしと…隆太だけの秘密」
詩穂の俺を見つめる瞳が微かに潤んでいる様に見えた。
「ねぇ、隆太?」
「ん?」
「あたし達…結婚してもずっと友達…だよね?」
「あぁ、さっきも言ったろ?…お前が結婚したって詩穂は詩穂、俺の知ってる男っぽくて最高にノリの良い詩穂に変わりはないだろ?これからだって詩穂は俺の最高の友達だ」
俺は微笑んで言った。
「そう…だよね…ありがと…隆太…」
そう言って詩穂は、張り詰めていた糸が切れたかの様に涙を零した。
「あれ…?おかしいな…嬉しい…はずなのに…隆太の…前では…泣かないって…決めたのに…ごめんね…」
必死に涙を拭う詩穂。でも涙は次から次へと流れて止まらない。
「……バカ、別に我慢なんかすんなよ…俺は泣いてるお前をみっともないなんて思ったりしないからさ…俺もお前が涙を流す時は一緒にいてやるから」
そう言って俺は詩穂を抱き締めた。
「…っ、ひっ…隆太ぁ…」
詩穂も俺にしがみついてから声を押し殺して泣いた。
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