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暫く、そうしていた後詩穂は俺から離れた。
「…落ち着いたか?」
「うん…ごめんね…」
グスッと鼻を鳴らして頷いた。
「なんか…吹っ切れた、隆太の前で泣いたら」
「そうか、そうか。俺はまだちょっと困惑してるけどな」
「あはは、ごめん…絶対言っておきたかったからさ、後悔残して…結婚なんて嫌だもん」
「まぁな、これですっきりと結婚出来るか?」
「うん、これで心おきなく結婚出来るよ」
ニヤリと笑った詩穂。もういつもの様な男っぽい笑顔に戻っていた。
…立ち直りの早いヤツだなぁ…
と心の中で苦笑い。
案外、俺があの話を切り出さなくても詩穂の方から切り出していたかもしれない。
「んじゃ、もう帰るか」
「ん…そうだね、もう完全に朝になっちゃったしね」
そう言うと詩穂は車に乗り込んで、窓を開けた。
「今日は何度も引き止めて悪かったね」
「別にいいって事よ、お前に振り回されるのは今に始まった事じゃないからな」
「何よ、それ~!」
そう言って何となく…俺と詩穂は笑い合った。
「じゃっ、気を付けて帰れよ?」
「うん、隆太もね」
「家すぐそこだけどな」
一つ笑った後、詩穂は車を走らせた。
「約束…忘れないでよ!あたし達、友達だからね!」
「分かってるって!幸せにしてもらえよ!」
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