一路海へ

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砂浜に下りると風が少し冷たくなった気がして心地良い感じがする。 「おぉぉ…海だよ~!」 英則…今更その感想はないだろう? 「私…海に来たのなんて何年振りだろ」 美咲さんも何だかいつもと違ってテンション上がってるらしいな。 俺はそんな二人を見ながら砂浜に座った。 「隆太、行かないの?」 詩穂が隣に座りながら言った。 「ん?俺は後で堪能するよ、お前こそ行かないのか?」 「あはは、あたしは見てるだけで充分」 「きゃっ!冷た~い!」 「おぉ…この波が引いて行く時の足の感覚が何とも…」 気付けば英則も美咲さんも靴を脱いで海に足を入れてはしゃいでいる。 「ははっ、子供かよ…あいつら」 俺は二人を見て微笑んだ。詩穂も同じく二人を見て笑っていた。 俺も詩穂も無言、いつもはこんな事ないのに今日は何か変だ。 顔を合わせればいつだって何かしら皮肉を言い合ったり下らない話なんかで笑っていられたのに。 ふと、詩穂の横顔を見た。 何故か少しドキッとする。さっきのカラオケの時とは違い、何ていうか…詩穂の女らしさを感じた。 もう届かないモノになると分かって急に愛しくなったのか? そんな事…ない…よな?自分でも何だかワケが分からん。
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