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そう言うと、リュシオの足元からまばゆい光が溢れ出した。
「それでは……ご機嫌よう………アゼル様」
王と呼ばれた男――アゼルは、目が眩むほどの光に包まれ消えていくリュシオを逃がすまいと、持っていた剣を頭上へ掲げると、勢い良く振り下ろした。
しかし、伝わってきたのは硬い床の感触で、結局仕留め損ねてしまった。
そんな自分に腹立たしさを覚え、内心舌打ちをしながら、再び淡く煌めく月を見上げた。
「不思議だな……我をこうも落ち着かせるとは……」
心身共洗われるような感覚に、アゼルはひとりごちると玉座へと座り直した。
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