第1夜 月夜の晩に

7/16
前へ
/19ページ
次へ
 シアリスと呼ばれた少女は軽く頷くと、その膝の裏まで伸ばされた黒髪をなびかせながら、家の中へと戻っていった。  暫くすると、シアリスは緑色の液体が入っている小瓶を、いくつも抱えて戻ってきた。 「どうぞ……、これで最後です」  淡々と語る少女から、全ての小瓶を受け取ると、お礼を言いながら森の方へ歩いて行った。  少女は長老様が見えなくなるまで見送った後、薬草を取りに行くための準備に取り掛かった。  シアリスが向かった場所は、長老様とは反対側にある森で、そこには危険な獣たちがあちこちに潜んでいると噂されていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加