1*偽りの現実

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 「…嘘吐きな、世界だね。」 花を愛でる優しげな顔で一人呟く。だってそうだろう?視点を変えれば、美しさは醜さと紙一重だから。 「そうだね」 何処からか、声がした。 「貴方の家族も。ね、架狂さん?」 綺麗で毒々しい声の主は、背後に立ち、クスリと笑った。 「貴方は、狂ってるもの。愛とか、理解出来てない。だから、愛されちゃいけないの。貴方の名前もその、戒め、でしょ?」 あぁ、私は忘れていたのだ。本当の愛など、私の周りでは架空の物だと。…自惚れては、いけないのだと。 「狂ってる。貴方は涙さえ出ない。そのまま、崩れれば?」 クスクスと言い放ちながら女は、花びらと共に消えた。
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