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「…嘘吐きな、世界だね。」
花を愛でる優しげな顔で一人呟く。だってそうだろう?視点を変えれば、美しさは醜さと紙一重だから。
「そうだね」
何処からか、声がした。
「貴方の家族も。ね、架狂さん?」
綺麗で毒々しい声の主は、背後に立ち、クスリと笑った。
「貴方は、狂ってるもの。愛とか、理解出来てない。だから、愛されちゃいけないの。貴方の名前もその、戒め、でしょ?」
あぁ、私は忘れていたのだ。本当の愛など、私の周りでは架空の物だと。…自惚れては、いけないのだと。
「狂ってる。貴方は涙さえ出ない。そのまま、崩れれば?」
クスクスと言い放ちながら女は、花びらと共に消えた。
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