空にいる君へ

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「でさ、学校で何か面白い事あった?」 「面白い事な、そうだな……」 海渡は目を輝かせながら聞いてくる。 俺達が来た時はいつも学校の話しをしているのだ。 「なんと大輔が制服のままプールに落ちた」 「うわっ、大丈夫だったの?」 「大丈夫だ、ぬかりなく安全は確認したから」 「犯人は健吾!?」 楽しそうに笑う海渡。 「てか男子達何してんのよ?」 「女子には言えない事をいっぱい」 「馬鹿だね」 「馬鹿だよ」 「いいなぁ、僕も学校に行きたいよ」 海渡は笑っているが淋しそうにも見える。 そんな海渡を見て水城は急に声を張り上げだした。 「大丈夫だって!学校くらい来れるようになるよ!私も何か出来る事があれば精一杯頑張るからね?海渡」 「ありがと、水城」 「……うん」 水城は頷く。 少しして病室に大輔が入ってきた。 「二人共ひどいよー」 「あ、大輔久しぶり」 「久しぶり海渡、元気だった?」 「うん、最近は調子いいんだ」 「それはよかった!」 大輔は嬉しそうに笑う。俺だって海渡が元気だと嬉しい。 「そうだ、何か飲み物買ってくるよ。海渡と水城何がいい?」 「いいの?じゃあ私はお茶で」 「あ、僕も」 「よし、じゃあ行ってくるわ。大輔、いくぞ?」 大輔は不満そうに顔を歪める。 「俺やっとおばさんに開放されたばっかなのに!」 「うっさい、俺の手は二本しか無い。お前がいれば四本になるだろ?」 「分かったよ……」 大輔はやっぱり不満そうにしている。
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