クリスマス

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「そ、そんなに吸ってたんだ・・・」 芹那はもちろん禁煙の辛さを知らない。 しかし芹那がまだ小学生の頃、父親がタバコをやめると決心したがなかなかやめられずにいた。 結局今では、軽いタバコを一日数本吸うことで我慢をしているようだった。 新年初のライブもかなり盛り上がり、カウントダウンライブは終わりを迎えようとしていた。 数回のアンコールの後、ステージに幕が下ろされた。 こんなに長い時間ライブを見たのは初めてだ。 しかも大好きな達哉の。 よく考えてみたら、あのステージで歌っていたのは自分の恋人だった。 そう考えると、とても嬉しかったが、同時に自分なんかが恋人でいいのかと不安が押し寄せてきた。 数千人を一瞬でJULIAの色に染めるほどの世界的ボーカリストが恋人だなんて。 ・・・本当にあたしでいいのかな? 複雑な気持ちだった。 「さぁ、芹那ちゃんいきましょうか」 芹那ははっと我に返った。 「は、はいっ」 荷物を持って急いで西川の後を追った。
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