二度目の夏

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「・・・えっ?」 本当に、いきなりだった。 かなり真剣に、JULIAのアルバムの話をしていたのに。 不意を突かれて、間抜けな声が出てしまった。 「今までみたいな遊びの女じゃなくて、本気で好きな女がいるんじゃないの?」 「どうして?」 本当に、どうして突然こんなことを・・・ 冷静に。 いつものトーンで。 表情や声に出ていないだろうか。 アルコールを飲みながら、遼二を相手に隠し通せるだろうか。 「どうして、そう思ったと思う?」 遼二はニヤリと微笑んで、達哉の顔を覗き込む。 質問に質問で返す。 相変わらず、意地が悪い。 そんなところも、遼二の好きなところだ。 「うーん、髪の色を変えたから?」 「確かに、今の髪の色の方がいいな。落ち着いてて。前の明るい色は、チャラいわ」 達哉の冗談に、遼二が笑いながら答える。 でも、目は笑っていない。 別に、遼二には、隠す必要はないだろう。 どんなに隠しても、嘘は見破られているだろうから。 接客のプロには、隠し通せない。 遼二は、誰かに話したりは絶対にしない。 それに、兄貴分と、恋愛の話をするのも悪くない。 遼二だって、昔は相当遊んでいただろうし、今だってわからない。 結婚しているのかどうかも、わからない。 とりあえず、なぜわかったんだろう。 服だって、アクセサリーだって、いつも通りのはず。 見た目じゃないとしたら、雰囲気? 気付かないうちに、変わっていたのだろうか? 「わからないよ、遼二さん。俺、どこか変わった?」
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