二度目の夏

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達哉は部屋に戻り、スーツケースからヘッドホンを取り出し、JULIAのアルバムを再生した。 そんなに、変わっただろうか。 程良く酔いが回った耳に、激しい曲調が心地良い。 ベッドに横になると、目の前に大阪の夜景が広がる。 当然だが、東京とは全然違う。 それもまた新鮮。 結局、遼二には、大切な彼女ができたことを伝えた。 相手が、芹那だということまでは、言っていない。 時間が取れたら、二人でここに泊まりに来て、遼二をびっくりさせるのもいいかもしれない。 内気で、泣き虫で、恥ずかしがり屋の、可愛い恋人。 もう、寝てしまっただろうか。 スマホで時間を確認すると、0時を過ぎていた。 夏休みでレッスンや仕事が詰まっているから、寝ているかもしれない。 声が聴きたい。 本番前に、電話してみよう。 会いたい。 抱きしめたい。 どれくらい会っていないだろう。 2週間は確実に会っていない。 一人で泣いたりしていないだろうか。 寂しがっていないだろうか。 会いたい。
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