1818人が本棚に入れています
本棚に追加
ずっと鳴り響いていた楽器の音が、尚樹のドラムの合図で、聴き慣れたフレーズに変わる。
ここ数年、メンバーコールからのこの曲がお決まりになってきた。
ライブではほぼ毎回と言っていいほど演奏する曲。
JULIAのライブで、一番盛り上がる曲だと言っても過言ではない。
会場中が、待ってましたとばかりに湧き上がる。
達哉がニヤリと不敵な笑みを零す。
雪夜とユウは、ステージや花道を動き回り、ファンを煽る。
尚樹のツーバスが、さらに速くリズムを刻む。
雪夜とユウの音も、速く激しくなっていく。
達哉の低音は色気たっぷりで、鳥肌が立つ。
鎖骨にかかる小さなダイヤが、きらりと光った。
雪夜は、達哉とはまた違った形の白いシャツに、黒いネクタイ。
ユウはフリルの付いた白いブラウスに、黒いリボン、そしてトレードマークの黒いロングスカート。
尚樹は白のノースリーブシャツに、同じ生地のアームカバー。
全員、白のトップスに黒のボトムスで統一している。
アルバムでは、その衣装にジャケットを着ているが、さすがにこの暑さと熱気では、ジャケットは着ていられない。
音と会場の熱が、一つになる。
達哉はその中心で声を響かせ、そっと微笑む。
ステージ上の達哉は、常にオーラと色気が溢れ出している。
何をしても、完璧。
そして花道に瀬を向けてステージに戻り、マイクスタンドの前に立つ。
再びギターを持つ。
まだ、観ていたい。
夢の中にいたい。
終わらないで。
最初のコメントを投稿しよう!