二度目の夏

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「芹那もシャワー浴びてきたら?汗が流れてすっきりするよ」 バスローブ姿で髪を拭きながら、達哉が言う。 少し広めに開いた胸元から覗く、肌の色。 濡れた髪。 目を背けたくなるほどの、色気。 顔が赤くなっていくのがわかる。 それを隠すように、バスルームへ急いだ。 芹那が髪を乾かして戻ると、達哉はいつものようにパソコンを開いて、なにやら難しそうな顔をしている。 「仕事してるの?」 やっと少しだけ、緊張がほぐれてきた。 でも、ソファーの隣に自分から座るのは、緊張してしまう。 少し距離をあけて、ソファーに座る。 「うん。でも、今日は仕事終わり」 パソコンを閉じると、芹那に手を伸ばす。 「遠いな」 しょうがないな、という表情で芹那の背中に腕を回し、深いキスをする。 「・・・っ!」 達哉は、そのまま芹那をソファーに押し倒し、ローブの中へ手を入れる。 「あっ、ダメッ!!」 「なんで?」 「明るい・・・」 達哉はリモコンで照明を全て落す。 しかし、ガラス張りのスイートルームでは、無意味だ。 「これ以上は無理だよ?」 達哉は意地悪く、ニヤリと微笑む。 「そんな・・・」 芹那の表情が一気に曇る。 「じゃあ、ベッド行こうか」 芹那が返事をするより早く、達哉が芹那を抱きかかえ、ベッドへ降ろす。 寝室の窓も、もちろん一面ガラス張り。 達哉は寝室をシアターモードにして、間接照明を点ける。 窓も部屋も暗くなり、オレンジ色の間接照明がほんのりとベッドを照らす。 今年のお正月に達哉と過ごしたとき、昼間からここでDVDを観たことを思い出した。 懐かしい。
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