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「ごめん、俺の欲求だけ吐き出したみたいになって・・・」
達哉は申し訳なさそうにそう言って、隣で横になっている芹那の髪を整える。
「いいよ」
芹那はそう言って、微笑む。
達哉が自分の体で感じてくれるのが、幸せだから。
達哉と一つになれるだけで、幸せだから。
髪はまだ乱れたままで、少し気怠そうにうつぶせになり、顔は達哉の方に向けている。
その表情やしぐさに、妙に色気を感じる。
布団から出ている肩のラインが美しい。
しばらく会わない間に、芹那になにかあったんだろうか。
達哉は芹那の隣に座り、芹那の絡んだ髪を少しずつ指で解く。
芹那は気持ち良さそうに、目を閉じる。
「夏休み、楽しかった?」
「うん。たのしかったぁ」
芹那は目を閉じたまま、微笑む。
ディズニーランドに行ったこと、真実の家で遅くまで盛り上がったこと。
達哉は芹那の話を、うんうんと笑顔で聞いていた。
芹那が楽しそうに話をしている姿が可愛らしかったし、学校の友達と楽しく過ごしていたことが何よりも嬉しかったし、安心した。
学校に行かなくなってしまうんじゃないかと、西川と心配していた頃もあったくらい、一時期は学校が嫌いだったから。
「今度はディズニーシーに行こうって話してるんだけど、シーは達哉さんと先に行きたいなぁ」
芹那は遠慮がちに、上目遣いで達哉を見る。
「そうだな・・・」
ディズニーランドも、常に連れて行ってあげたいと思っていた。
いくら人が多くても、自分が一緒だと目立ってしまうのではないかと思い、行けずにいた。
「無理ならいいの。あたしが卒業したら、たくさん遊びに連れて行ってくれるでしょ?」
こんなに年下の、しかも大好きな子に、気を遣わせている・・・
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ごめん。俺のせいで」
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