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あたしの今年の大きなイベントは殆ど終っちゃって、あとは年末の音楽番組ラッシュだけ。
ボイトレやその他のトレーニングが主なスケジュールで、時々雑誌とかネットの記事の取材とか。
あとは出席日数稼ぎなさいって、西川さんが。
達哉さんは、JULIAの活動以外にも、楽曲提供の依頼やギターでのレコーディング参加依頼がたくさん来ているみたい。
殆どスタジオや自宅の作業部屋にこもってるって言ってた。
また、会えない日々が続くんだなって思うと、仕事も学校も行きたくなくなっちゃう。
達哉さんは作業を始めると、一日中作業部屋から出てこないのは普通のことなんだって。
丸一日食事をしていないなんてことも、よくあるとか。
信じらんない!
お腹空くし!
ヘッドホンをしてることが殆どだから、スマホの着信にも気付かないみたいだし。
音楽に没頭すると時間の感覚がなくなるから、連絡が来ない日も普通にある。
「アーティストあるあるだね」
昼休みに食後のおやつを食べながら、リサが苦笑いする。
「みんなそうなの?」
「そうみたいだよ。ミュージシャンに限らず、芸術家とか研究者とか、集中しすぎて平気で一日以上経ってるって」
「あたしには縁のない世界だなぁ」
ふぅ、とため息をついて、あたしはチョコに手を伸ばす。
「ね、あたしも。作業してるのわかってても、連絡来ないと不安にならない?あたし不安だな。作業してるふりして、どこか遊びに行ってるかもしれないし。出るまで電話かけちゃいそう」
「うん、不安・・・LINEだと、どこにいるのかわからないし」
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