鏡を信じるな

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(何でこんなことになってるんだろ…) 結局恭真は二人の頼みを断ることが出来ずに(押しには弱いのだ…と言い訳を心の中で呟く)螢の言われるまま今電車に乗っている。 今と言っても頼まれてから三日後の土曜日なのだが。 「大丈夫大丈夫。恭真は私を守ってくれればいいだけだから。ほら、いわゆるボディガードってやつよ」 螢はそう言うが、俺には体がゴムで出来ているとか、技名を唱えれば手からビームが発射出来るとか、一家全員殺人鬼だとか、実は魔王の息子だとか、多重人格者でしたとか、体から電気や炎や水や風を起こすことが出来る異能力者だとか、全くもってそんなのなくて、ただ情報を調べる能力が他者より少し優れているくらいだ。少しね。 「明は来ないのか?」 「姉さんには内緒で来てるから来るわけないよ。ちなみに友達と遊ぶって約束ね」 螢は「だからそんなことべつにいいじゃない」と強引にこの話題を切った。しかたないので恭真は別の話題をすることにした。 「でも犯人を探すってことは何か事件があったんだよな?何があったんだ?」 この話題は三日前「今度話すから」と言われ保留になってたからな。 「それはね……」 螢は悲しい表情を見せ、静かに話し始めた。 「私達のお姉ちゃんが殺されたんだ」  
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