第2章 突き付けられる『現実』

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ココは客間…… 橙「紫さま、お連れしました。」 ふすま越しに橙が呼び掛ける。 紫「ご苦労様、入っていいわよ。」 橙「はい、失礼します。」 真「失礼します。」 紫の返事を聞き、ふすまを開き中に入る橙と真。 紫「適当に座ってちょうだい、立ちっぱなしじゃ疲れるでしょう?」 真「あ、はい。じゃあ、遠慮なく……」 紫の正面、話しやすい位置に座る真。 橙は紫の隣に正座する。 真「いきなりなんですが……話したい事って一体……」 紫「まあ、焦らないの。 藍の作業が終わってからにしましょう。」 真が切り出そうとすると即座に遮られた。 ふと後ろを向くと藍が壁に板を打ち付けていた。 真〈……〉 真はおもむろに立ち上がって藍に近付きトンカチを手から抜き取る。 藍「?何だ?」 不思議そうに首を傾げる藍を横目に板に釘を打ち始める。 藍「何をしている!?これは私が……」 真「気にするなって、こうなったのは半分俺のせいだしな。」 止めようとした藍を制し作業を続ける。 藍「むぅ……」 半ば強引な真に、さすがの藍も折れるしかなかった。 橙「ずいぶん慣れてるんですね。真さん。」 いつの間にか近くに来ていた橙が興味津々に作業を眺めている。 真「まあね。昔から手先が器用なんでね。」 藍「……上手いもんだな……悔しいが敵いそうもないな。」 本当に悔しそうな顔をする藍。 などと話しながら作業を続け、修理は早く終わった。
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