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「刹那、今日は一日俺とデートしないか?」
人を公園に呼び出しておいて、何か指令でも来たのかと思えば……。
この男はいつも、何の前触れもなくこういう事を平然と言う。
しなやかな長い指が俺の肩を掴む。
振りほどけば簡単に外れるほどの力なのに……。
「俺の車でさ。刹那はどっか行きたい所あるか?」
――どうして振りほどけない。
――このままこの男の言いなりでいいのか?
心の中で自問自答していると、目線を合わせるように顔が近づく。
キラキラと光る翡翠色の瞳がジっと俺を優しく見る。
「どうした?刹那?」
……卑怯だ。
そんな顔で俺を見るな……。
その瞳で俺を見るな……。
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