母性愛

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事のいきさつをじっと聞いていた母親は   彼にそっと語りだした     「この前ウチの子がね、   どんなに辛いことや悲しい事があっても だからって学校休んで良いわけじゃないでしょ そんなのは自分に弱いだけだよ、 って言うんですね」   「それは正論なんですけど 私は娘にこう言ったんです」   「あんたね、考えてご覧なさい、   小学生になる前から、あの子はずっと1人で寝てきたの」   「小さな子がね、 毎日毎日誰もいない家に、 ただいま~って帰るの」   「それを何年もの間 ずっとずっと寂しいのを我慢して 暗い家で1人で寝てきたの」   「お父さんに迷惑が掛かるからって、 誰にも頼らずにじっと堪えてきたんだよ」   「あんたに、その孤独感や寂しさが想像出来るかい?」   「あんたには、あたしがいたじゃないか、   それを弱いからって、 あんたは言えるのかい?」   「娘はそれ以上何も言いませんでしたよ」   その母親は、ボロボロと涙を流しながら   彼に話を続けた
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