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「まったく、見習いがこんなんじゃ先が思いやられるわね…」
女はそれだけ言うと再び前を向いて階段を上り始めるが…沙織の心中は怒りに満ちていた。
…何よ偉そうに!何様のつもりよ!
沙織はそう思いながらも依頼人を放っておく訳にもいかず、慌ててその背中を追うのだった…
…一方城島達は事務所の中で何をするでもなく、のんびりと過ごしていた。
城島はクロスワードパズルに夢中になり、スメラギはヘッドホンで音楽を聞いているらしく…ノリノリで頭を小刻みに動かしている。
その時突然事務所内に水音の残響が響き渡り、続いてドアの開く音が聞こえる。
どうやら秀明がトイレに入っていたらしく、秀明はドアを閉めると思わず肩を抱く。
「…ちょっと…誰ですか冷房全開にしてるのは?」
秀明は目で訴えながら辺りを見渡し、ふとスメラギのデスクの上にそれを見つける。
秀明はデスクの上に置いてあったリモコンを掴むと冷房に向ける。
「おい!何してんだよ?」
だがスメラギが素早くそれを引ったくり、秀明に取られないようにしてしまう。
「だって寒いんですもん。ちょっと温度上げましょうよ、電気代だってバカにならないんですから」
「何言ってんだよ?こんなクソ暑い日に冷房全開にしなくてやっていけるかっての!」
「大丈夫ですよ、普通でも充分涼しいんですから。それにもうちょっと地球に優しく、」
「テメェは俺よりも地球が大事だって言いてぇのか?!」
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