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…その言葉逆にしてアンタに返したいよ…っていうかアンタは融通の効かない頑固おじさんですか?
秀明は自らの思いをそのままスメラギにぶつけたかったが、生憎とそんな勇気はない。
秀明が返答しないのをいい事に、スメラギは再び音楽に耳を傾ける。
…まったく、こういう自覚の無い人ばっかりだから…
秀明がそう思いながらデスクに戻ろうとした時、突然事務所のドアが開け放たれる。
「はい、ちょっとお邪魔するよ!」
そう叫ぶ者に城島達が目を向けると、そこにはあの女が立っていた。
女は城島達を値踏みするように見渡すと、言葉を切り出した。
「ちょっと依頼があって来たんだけどね、責任者はどこ…って寒いんだけどココ?」
女もまた秀明のように肩を抱くと、スメラギの手元にあるリモコンを突然引ったくって冷房に向ける。
「お、おいテメェ!何を、」
スメラギが憤慨した様子で女に迫る前に、女はスメラギにグッと顔を近づけて睨みつける。
「…冷房は28℃が基本。冷え過ぎる冷房は新陳代謝を低下させる、そんな事も分からないのおじさん?」
…女の突然の変貌に呆然としているスメラギをよそに、女はリモコンを操作して冷房の温度を下げる。
そして無造作に投げられたリモコンは弧を描き、スメラギの頭に見事命中する。
「で、責任者は?」
憮然な態度で聞く女に、城島はゆっくりと立ち上がって答える。
「俺がそうだが…何か用か?」
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