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「お兄ちゃん……やっぱり寂しいでしょ?」
「アホか。 あいつに振り回されるのは大変なんだぞ!」
「素直じゃないっすねぇ~」
本音を言えば、未由の言う通りだったりする。
空気のような存在だった森羅が隣にいないというのは落ち着かない。
週に二回ほど、森羅とメールのやり取りをしているが、それだけだと物足りない気がする。
「でも、お兄ちゃんには私がいるっす! 夜のお世話も頑張るっすよ!」
「ふざけんな! 通学中に何を言い出してやがる!?」
ムギューッ!
「はぅー!? 髪が抜けるっす!?」
ツインテールを鷲掴みにし、釣り上げると未由は悲鳴をあげた。
あちらこちらで俺たちのやりとりを見て、くすくすと忍び笑いを漏らす同じ高校の制服を着た奴らが多い。
「ったく、お前のせいで変な目で見られただろ!」
「仕方ないっすよ……禁断の兄妹の世間体が良くないのは当然っす」
「何故お前は禁断の関係上等なんですか!?」
新学期初日だというのに頭痛の種は尽きない。
ため息を吐きつつも、歩き続けると見慣れた校舎が見えてきた。
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