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「わぁ~高校っす! ついに憧れの高校デビューっす!」
ぴょんぴょんと元気良く跳ねながら未由は新しい母校となる校舎を指さす。
その仕草は見た目通りの幼い雰囲気に包まれており、眺めていると和んでしまう。
「お兄ちゃん、どうせなら『いっせいの~せ』で一緒に門をくぐるっす!」
「嫌だ」
「え~何で!?」
「恥ずかしいからに決まってるだろう!」
未由という端から見れば可愛い女の子と一緒の時点で恥ずかしいのに、これ以上目立つことはしたくなかった。
冷たく突っぱねるとあからさまに未由は意気消沈した。
「はぅ~お兄ちゃんと記念を作りたかったのに……」
うぐ……そっ、そんな泣きそうな顔をされると罪悪感が……
「わがままな妹でごめんなさいっす」
「わかったよ! やればいいんだろ!?」
「わぁ~い、お兄ちゃん大好きっす♪」
勢い良く俺の胸にダイブしようとする未由の額に片手を置き、抱きつきを阻止する。
「ほら、時間無いから早くやるぞ」
「了解っす」
未由と俺は肩を並べ、大きく深呼吸する。
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