悪魔な姉妹~再会は痛みと共に~

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呼吸を合わせ、未由は俺に笑顔を浮かべながら目で合図を送る。 『いっせいの~せ!』 俺たちは同時にジャンプし、高校の敷地内に足を踏み入れた。 今日から新しい生活が始まる。 新たな出会いに期待と不安を感じながら俺は胸を躍らせ、校内へと歩きだす……つもりだった。 シュルッ! 「へっ?」 着地した瞬間、右足に違和感を覚えた。 不思議に思い、右足に視線を向けると何故か荒縄が巻き付いている。 「うっ、嘘ぉ!? って、ギャース!?」 「おっ、お兄ちゃん!?」 強い力で縄を引っ張られ、俺の体は地面を引きずられていく。 何が何だかわからず、混乱していると、俺の体は門の脇にある満開の桜の枝に宙ぶらりんになって止まった。 上下逆さまの世界。 心配そうに見上げる未由と好奇心旺盛な学生達の視線が集まる。 「ちょっ、ちょっと何がどうなってるんだよ!?」 「あらあらぁ~可愛い獲物が釣れましたねぇ~♪」
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