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目の前に迫る地面。
かなりの痛みを覚悟し、瞼をギュッと閉じる。
ポスッ。
「あれ?」
鈍痛を予想していたのだが、俺の体は柔らかいものに包まれ、痛みを感じなかった。
不思議に思いつつ、瞼を開けてみると……
「ヤンチャは危ないから駄目ですよ~めっ♪」
視界一杯に女の子の笑顔が広がっていた。
瞳を細めて笑う表情は母性に満ち溢れ、いつまでも眺めていたくなる。
「うふふ、近くで見ると可愛い顔してますねぇ~♪」
「ちょっ、ちょっと恥ずかしいから頬を撫でるのは勘弁して下さい!」
「お姫様抱っこの時点で恥ずかしいんですから、気にしちゃ駄目ですよ♪」
はい?
……お姫様抱っこ?
loveなバカップルが生み出した愚の骨頂のことだよな……
冷や汗が止まらない。
周囲からは羨望の眼差しを集め、新入生たちからは歓声があがっている。
何かの間違いと思いたいので、俺は自分の状態を確認することにした。
背中と膝裏に入れられたしなやかな手。
胸には女の子の柔らかい感触。
目の前には今にもキスできそうな距離の女の子の笑顔。
それらから導かれる結論は……
「ギャース!? お姫様抱っこされてるーーー!?」
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