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ちゅっ……
女の子の唇が一瞬額に触れ、ゆっくりと離れた。
あまりの事態に脳が、現状の把握をしてくれない。
女の子は可愛らしく小首を傾げ、真っ赤な舌をチロッと見せてきた。
その舌先には一枚の桜の花びらが乗せられている。
「ふふ、花びらがついてましたよ♪」
「あっ、あわわわ!?」
自分が何をされたかを理解し、俺の顔は火を噴いた。
女の子は優しくお姫様抱っこの姿勢から俺を解放して、にっこりと微笑んだ。
「純也さん、今度はもっと時間に余裕がある時にいっぱい話しましょうね♪」
「はっ、はい」
言われるがままに頷くと女の子は満足げな表情を浮かべ、リボンを揺らしながら校舎に向けて歩きだす。
「あっ、あらあらぁ~私としたことがうっかりしていましたぁ~♪」
パンッと両手を合わせて、照れくさそうに頬を掻きながら女の子は振り返る。
「私は片平小百合です。 三年生で純也さんより一つ年上のお姉さんですよ♪」
そう告げ、女の子……小百合さんは穏やかに笑いながら去っていった。
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