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掠れた妹の声を予想していたけれど、耳に響いたのは男の子の安堵した声だった。
恐る恐る瞼を開けると、トラックはガードレールにぶつかって止まってて、その隣で美鈴ちゃんを守るように男の子が覆い被さっていた。
「ふぅ~危なかったぁ~死ぬかと思ったぜ」
「あれ? 私、生きてるの?」
「はぁ? 当たり前だろ? 俺が助けたんだからよ」
私と同い年くらいの男の子は立ち上がり、横たわっている美鈴ちゃんに手を差し伸べた。
「痛ッ!?」
「あっ、悪い! 膝を擦りむいちまったか! ちょっと待っててくれよ!」
ポケットをごそごそを探り、一枚の白いハンカチを取り出した。
「ほっ、【しんら】にハンカチを持たされていて正解だったぜ」
男の子は腰を屈め、擦りむいた膝の砂を払い、優しくハンカチを巻き付ける。
その瞬間、美鈴ちゃんの体に変化が起きた。
「あっ、あれ? なっ、何で体が震えちゃうの? いっ、嫌だ……こんなの嫌だよ」
ガタガタッと震える美鈴ちゃんを抱きしめてあげたくて一歩踏み出しだすが、そんな私よりも早く彼が動いた。
「いいんだよ。 怖かったな……でも、もう大丈夫だよ」
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