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大山は上体を起こした
「さてと…とりあえず部室に戻ろうかな…」
部室に戻るまでの道
所々にトランプがちぎられた状態で落ちている
校内のゴミ等は皆が帰った後に美化委員会が綺麗に清掃することになっている
にも関わらず、大山は目についたトランプだけは全て拾いながら歩いた
部室に着きドアを開けると、そこには素子と一緒に玲がいた
意外な組み合わせに大山はしばらく入室するのを躊躇った
「部長、どうした?まだ前夜祭が終わるまで時間はあるぞ?」
「い、いや。素子さんも少し外出たらどうかなってね」
「私は本を読んでる方が楽しいんでな」
「りょーかい。…で、玲ちゃんは?」
「…これ…返しに…来ました」
玲は1枚のトランプを大山に渡す
そこには何も書かれてない
真っ白なスペアカードだった
「…こんなの入れて…赤と黒の…総数…同じにしたでしょ…?」
「そりゃね、せっかくの精鋭を集めるための予選が2分の1で決まるんじゃ面白くないでしょ」
「少ない色とはよく言ったものだな」
「ゼロは少ないでしょ?」
「…ゼロとは…何もないことを…表現する…」
「逆に赤を多くした方が、混乱したかな?」
「…それでも…私は…引っ掛かりませんけど…」
大山は玲からトランプを受け取る
「強がっちゃって…これが無かったら分からなかったでしょ?」
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