裏切りのジョーカー

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「渡邉くん、ジョーカーがそんなに露骨に動いていいのかな?」   「それをいうなら音無くんだって~。だいたいそんな有名な部活は取っておくべきでしょ~?」 「有名?そんなに差があるものでもないだろう」 「それに鬼國さんだって~」 「私が何か?」 「時間をもっとうまく使ってよ~。部長と闘ってるのは君一人じゃないんだよぉ~?」 「確かに。次からは気を付けます」 「…まぁ…それでも…間違えたのは…渡邉さん…」 「それも呆気なくね」 疑う気になれば誰でも疑えた 観客もみな、思い思いに意見を延べ合う 実はこのゲーム、ジョーカーの立場が一番辛い 正解に導かないようにする   それが出来たとして次に待っているのが【追放】だ ここで脱落した時点でゲームは終わり 勝ち目はほとんど無い しかし逆に考えると、ジョーカーが一番面白い 他のプレイヤーはがむしゃらにゴールだけを見据えるだけしかない しかしジョーカーはゲームを動かせる プレイヤーの歩みも止められれば、ゴールという幻想を見せることも 勝ち負けなんかどうでもいい ただ支配者になりたい 「素子さん」 大山はマイクを押さえ、声が漏れないように素子に話し掛けた 「なんだ?」 「ちゃんと指示通りにカード渡したよね?」 「あぁ、もちろんだ」 「分かった。ありがとう」 大山はそんな欲深き人間をジョーカーに指名した
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