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一通り大笑いしてから、俺は、驚いた顔をして固まっているソイツを連れて歩きだした。
「俺の名前は内野光。 まさか、生徒に間違わられるとはな…。」
笑われたせいか、少しぶすくれた顔をしてソイツは着いてきた。
「お前、名前は?」
なんとなく、話し掛けた。
「水面陽人です。」
そっけない返事が返ってくる。
そうこうしているうちに、目的の体育館が見えてきた。
陽人を体育館の前まで送ると、俺は言った。
「陽人か。
今度は迷うなよ。」
陽人の頭をクシャリと撫でた。
そして、元来た方向へ戻るため歩きだす。
ってのは、表面上の理由。
本当は、我ながら柄にもないことをして赤面したのを隠すために歩きだした。
しばらく行ってから思い出す。
「あっ…。入学式、忘れてた。」
まぁ、いいか。
どうせ座っているだけだ。
そう、独り言を漏らしながら、自分の研究室へと戻って行った。
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