君に恋した

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式が終わって、人の波に流されるように教室に移動した。 教室についたところで、クラス担当の夏川愛(ナツカワアイ)先生が話し始めた。 優しい感じのショートカットの女性だ。 正直、…だるい…。 協力だの団結だのについて熱く語っている。 俺は、綺麗なものが嫌いだ。いや、綺麗に見せようとするのが嫌いだ。 …―あの人を思い出す。 10分位して、廊下から人が溢れるザワザワとした音がする。他のクラスから人が出入りしているのが見えた。俺のクラスは――… 「…―だから、みんなで頑張りましょうね!」 まだまだ終わりそうにない。 配布されたプリントに何気なく目を通すと、そこにはあいつの名前があった。 ―――――――――――――――――… 数学…内野 光      …―――――――――――――――――― 「本当に教師だったのか」 あらためて驚いた。 あんな矛盾した奴、初めてだ―――― クシャリと撫でられた頭を押さえながら、ひとりで笑った…。
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